LAND COMFORT 加藤ブログ

ランドローバーを運転していると時間がゆっくり流れているように感じます。

納車前の点検整備

現代クォリティー

私が仕事として自動車整備に携わるようになったのは1990年のこと。トヨタディーラーでメカニックに就き、最初は整備の基礎となる車検整備を担当するところから始めた。
私が勤めていた販売店では、朝礼が終わるとサービススタッフが手分けをして引き取りに出かけるところから一日が始まった。主に車検で入庫する車両を引き取りに行くのだが、フロントマンが運転をし、メカニック数人を乗せてお客さまのお宅や勤務先を訪れる。お客さまの家に着き、フロントマンが整備内容の打ち合わせをしている間にメカニックは車両のチェックをするようにしていた。見るポイントは、フロントガラスやランプレンズ類に割れや皹がないか、ホイールの隙間から覗くことができるならブレーキパッドの残量、そしてマフラーに穴が開いていないか。それらは、車検の中でもまとまった費用が掛かる代表的なパーツ。それらが良い状態であることがわかれば、おそらく作業は順調に進み、ビックリするほどの見積もりになる可能性が少ないことをその場でお客さまにお伝えできる。逆にそれらが悪いようなら、それに見合った費用が必要になることをあらかじめお客さまにお伝えしておくことができ、見積もりから部品調達、そして作業への流れがとてもスムーズになる。

レンジローバー_マフラー今日、マフラーに開いた大きな穴を見てそんなことを思い出した。レイブリックを始めた1996年ごろには、交換を迫られるほど腐食したマフラーのレンジローバーやディスカバリーが既に出始めていた。新車から3年目、5年目の車検で既に十数万円するマフラーの交換が必要になっていたのだが、当時としては輸入車国産車問わず、マフラーが腐ることはそれほど珍しいことではなかった。
その頃、社外メーカーからステンレスマフラーが発売されており、純正パーツ代+数万円の費用で錆びる心配のないステンレスマフラーが購入できたので、レイブリックとしてもその方法を多くの方に勧めてきた。
いつからだったか、純正供給パーツもステンレス製になり、その後交換したものはこんなふうに酷く腐食することはなくなった。(社外マフラーのようにピカピカ仕上げではないが・・・)
最近ではマフラー交換そのものが珍しい作業になりつつある。

レンジローバー_ステンレスマフラー今日、紹介している車両はオートクラフトで整備中の商品車、1993年モデルのクラシック・レンジローバー。そして、これは神田店長が決めたのかな?純正マフラーではなく、LEADER製ステンレスマフラーを使用して交換した。
こんなふうに、現代のクォリティーのパーツを使って組み上げられるクラシック・レンジローバーは、その方法次第では当時の新車の性能を凌駕できるクルマに仕上がる可能性があるわけだ。

納車後10,000km

私たち(レイブリック&オートクラフト)が販売するランドローバーは、その全車に対して整備を行っている。商品として展示している間に進めることもあるが、最終的にはお客さまにご契約していただいたあとで改めて腰をすえて点検整備を行う。まず、点検してみつかった不具合箇所を改善する。次に、車検整備項目に準じた整備を進めるのだが、消耗品の交換にはひとつの基準を設けている。お客さまにお渡ししてから、1万キロ走行以内に交換が見込まれると判断したものを交換の対象にしている。
ブレーキパッドはその代表的なもの。

discovery4今日、レイブリックではディスカバリー4の整備を行った。この車両の走行距離はおよそ12,000km。ブレーキパッドを点検したところ、リヤが少なめだった。前後内外4枚のパッドのうち、右の内側が一番少なく、約6.5mm。新品のパッドの量を測ってみると約11mm。計算上12,000kmで4.5mm減ったことになる。このペースで今後10,000kmを走ると、残りは2.75mmまで減る。この残量が安全か否か。
ブレーキパッドは減れば減るほど消耗のペースは早くなる。確かな理由を検証できているわけではないが、私はそのように理解している。新品時とある程度減ったブレーキパッドではその体積が異なり、当然だが体積が少なくなったパッドのほうが熱の影響を受けやすい。ブレーキパッドは熱を持つと脆くなり、そうでないときよりも消耗が早くなるという理屈である。
つまり、減れば減るほど減るスピードが早くなるゆえ、残量6.5mmのブレーキパッドで今後10,000km走ったときの残量は、きっと計算上の2.75mmより少なくなる。例えば2mm、いや1.5mm。ここまで減るといよいよ危ない!交換のタイミングを間違えればディスクを削ってしまう恐れがある。

ということで、交換!今後10,000km以内に不安がある以上、我々は迷わず交換することにしている。

余談だが、車検の基準ではブレーキパッドの残量は1mmあれば合格する。かなり危険な状態でも実は車検に受かってしまうのだ・・・。

ちっちゃ目ディスコ

IMG_3031これはディスカバリー・シリーズ1のリヤアクスル部分。ホーシングとシャシはAアームという頑丈なアームで連結されており、その稼動部分にはボールジョイントが設けられている。
走行中の前後左右の動きによる荷重で徐々にガタが生じ、やがて加減速時にカコンカコンと音がし始める。初めて私がこのボールジョイントの交換作業を行なったのは1996年にレイブリックを開業させてすぐの頃。リヤのフロアの下からカコンカコンと響く音源をさぐるのに大変苦労をした。走って音を出しながら、もうひとりがクルマの下にもぐって音を聞く、それができれば苦労しないのだが現実的には無理・・・。幸いにも、レイブリックの整備用のリフトが4柱タイプのものだったので、そのリフトの上でたとえ数十センチだったが車両を前後に動かすことができた。リフトの下に潜り込み、リヤの足回りの音を注意深く聞いて原因にたどり着いた。
もちろん、そんな経験は一度だけで、その後は同様の音質、同様の振動を感じたときには「ハイ!Aアームボールジョイントですね」と、悩むことなく交換作業に入れた。

IMG_3019さて、今、オートクラフトで納車前の点検整備を行なっているのは、まさにその時代のディスカバリーである。1994年にマイナーチェンジをしてエアバッグ付きモデルとなる、その直前のクルマ。ディスカバリー・シリーズ1のマイナー前、通称名「シリーズ0(ゼロ)」と呼ばれることもあるようだが、通常我々はヘッドランプが小さいことから「ちっちゃ目」と呼んでいる。「ちっちゃ目」のDISCOVERYだから「ちっちゃ目ディスコ」なのである。
愛嬌のある呼び名だが、実際、無骨ともいえるスタイルが何故か可愛らしく感じてしまうのも、その小さな目が起因しているように私には感じる。

IMG_3023その、ちっちゃ目ディスコの納車前整備も順調に進み、冒頭で紹介したAアームのボールジョイントの交換や、ブレーキ周辺の消耗品の交換を既に終え、足回りを含めた機関部分の整備は近日中には完了する予定。それらが済むと、ボディーや内装など細かな部分の仕上げ作業に入る。

作業は確実に、しかし最短で!ご納車を心待ちにしてくださっているお客さまの気持ちと、私がエンジニアに求めていることは、きっと限りなく同じものだと思う。

リサイクルパーツ

商品車の整備でウインカーランブのバルブを交換しようとしたところ、あるはずの「ツマミ」が折れてしまっていて爪が外れない。小さなマイナスドライバーを使って何とか取り外したが、このまま再び組み付けてしまっては、次回も同じことの繰り返し。
しかし、ランドローバーは、配線のコネクター部分だけの部品供給がない。私が経験した車種では、国産車もドイツ社も、パーツリストにちゃんとコネクター部分だけが載っている。なので、例えば、板金修理で、ヘッドランプの裏側のコネクターが潰れていてしまっても、その部分だけを交換することができる。
コネクター単位のパーツ供給がないランドローバーでは、例えば、こんな場合にはワイヤーハーネスASSYという大きい単位になってしまう。

こんな時のために、我々は中古パーツの源となる「部品取り車」を持っている。なんらかの事情で走行不能になってしまった車両などなど・・・。旧車マニアの方で、土地に余裕がある方ならこんなふうに数台の部品取り車両を確保されていることも珍しくないだろう。
整備を進めていると、過去の整備の誤りなのか、左右対称の場所にも関らず異なるデザインのネジが使われていたりすることが多々ある。そんな時には、部品取り車から同じ位置のネジを取り外してきて統一させる。

3f6ff88c.jpgさて、今回の目的はコネクター。同じ場所を見に行くと、残念ながら完全な状態では残っていなかった。雨水が当たる位置なので、樹脂の劣化が早いようだ。同様に破損していた。ただ、爪部分が全くなくなっているわけではなく、かろうじて半分ぐらいは残っていた。(写真右。左側は整備中の車両から取り外した、爪が完全に折れてしまったコネクタ)
c23eef64.jpgとりあえず、これなら機能はしそうだ。正常なものが見つかるまで、とりあえずこの中古パーツを組み付けておこう。しばらくいろんな車種の部位に目を光らせ、同じ形状のコネクターが使われている部分があるか注意しておこう。

出直し納車

今日は大阪に出張。名古屋が起点ならこんな発想はないが、東京からだと空路という選択肢もある。コストも変わらない。そして所要時間は1時間以上短縮できる。ホントにこの値段でいいの?と言いたくなるほど得した気分。

と、浮かれている場合ではない。今日は「出直し納車」に出かけたのである。
先月、関西のお客さまの元にレンジローバーをご納車させていただいた。そのレンジローバーが一週間もしないうちに「ほぼ」走行不能状態に陥ってしまった。
原因を先に言ってしまうと、トランスファギヤの切替のためのモーターが壊れてしまったのだ。電子制御されている車両はフェイルセイフモードに入り、最低限移動できるレベルの速度しか出せないように制限される。なので、動かないわけではないが、全く思うように走れなくなるわけだ。
そんな状態で、とりあえずご自宅まで戻られたオーナーさまから連絡があり、早速修理の段取りをとった。幸い、大阪で作業を引き受けてくださる工場が見つかり、レッカー車で搬入させていただいた。そして部品を手配し工場に送り、早速作業をしていただけた。
中古車販売の我々のスタイルは「整備&保証付き」。今回も保証修理なので修理費用としてお客さまにご負担していだたくことはないが、なにせご納車直後の出来事、「レンジローバーのある生活」の出鼻をくじく格好になってしまった。
そんな経緯があって、今日が二度目のご納車の機会となった。

朝、東京を出発し、大阪の修理工場さんでクルマを受け取り、オーナーさまの元にお届けした。「遠くからわざわざありがとうございました。」、そんなお言葉を頂戴できたことで安心もしたのか、帰りの名古屋までの新幹線では現金にもうたた寝をしてしまった・・・。

言い訳をするようで気が引けるが、今回のケースを未然に防ぐのは非常に困難だった。現在の我々の経験と技術では不可能とも言える。納車前整備の過程で走行テストをするのだが、そこでなんらかの症状が出ていればその原因を探ることはできる。タラレバを言えば、更に長期間の走行テストを行えば症状が出ていたかもしれないが、それを言いはじめたらキリがなくなる。でも、希望としては、どうせ壊れるなら限られた走行テストの最中に、つまりお客さまにお届けする前に壊れて欲しかった。

保証=無償修理は、お客さまに安心を感じていただくためのものだが、我々の想いはもうひとつある。自分たちが整備をしたクルマは、少しでも長く絶好調を続けていてほしい。もっと傲慢な言い方をすれば、「オレが手がけたクルマなんだから壊れるはずがない!」、と言えるようになりたい。
もちろん、そんなことはありえない。残念だが、永遠に壊れないクルマに仕上げる自信は全くない。しかし、全く自信がないからといって、これっぽっちも諦めていないし、諦めてはならない。確率の問題なら、限りなくゼロに近づけたい。この永遠に続く追いかけっこはメカニックとしての使命だと私は思う。

ブレーキのメンテナンス

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この写真はレイブリックで商品にするための準備を行っているクラシックレンジローバー、そのフロントブレーキ周辺。ご覧のとおりブレーキディスクを交換したところ。同時にブレーキパッドも。
ブレーキディスクを交換するに至る理由としては、まずは磨耗があげられる。パッドがディスクを挟み込むことでブレーキは効く。パッドは減るのだが、同時に、徐々にディスクも削れていく。ディスクが薄くなるとどうなるか?薄くなれば強度が低下する。だからといって私は割れてしまったディスクを見たことはない。割れそうなほど薄くなってしまったものは見たことがある。やはり、万が一にも、割れてしまうことは許されない重要なパーツである。。
性能面では、ブレーキディスクが減れば、ブレーキディスクの体積が小さくなる。体積が小さくなれば、熱の影響を受けやすくなる。ブレーキングの繰り返しにより発熱しやすくなり、その熱が原因で、フェード現象やベーパーロックを起こし、つまり制動力の低下に繋がる。
次に、ディスクの歪みである。歪が発生するとディスクが一周する間の摩擦力に斑ができる。そしてフワフワとブレーキペダルにその振動が伝わってくる。更に歪がひどくなると、とても快適な運転状況ではなくなる。もちろん異常な発熱をまねく可能性もあり、やはり安全ではない。

今回は、磨耗度合いが交換の判断基準となった。

ブレーキパッドとブレーキディスクは共に減るものだが、毎回両方を交換するわけではない。パッドだけの時のほうが多い。その場合、磨り減ったディスクと新品のパッドが馴染むまで、しばらくペダルのタッチが悪い。
今回のように両方交換すれば、馴染むまでの時間は短い。そしてペダルの踏み心地がとても気持ちよい。ザラザラした感じではなく、足の裏に「すぅ〜」と滑らかな感覚が伝わってくるようである。

1991年モデルのクラシックレンジローバー、22年目のクルマだがまだまだ現役!内装や外装のパーツを中心に徐々に供給終了パーツが増えているが我々ままだ全く諦めていない。こうしてメンテナンスを繰り返して、一台でも多くのコンディションの良いクラシック・レンジローバーを残していきたいと考えている。

想定内???

オートクラフトで納車前の点検整備を進めているレンジローバー・ヴォーグ、そのエンジンから冷却水が漏れていることが分かった。エンジンの後ろ側、オートマチックトランスミッションの方へと流れ落ちていた。それがどこから漏れているのか?外からはなかなか見えない複雑な箇所からである。
最近、レイブリックで同様のケースが出始めていた。V8エンジンのバンクの間からの漏れである。ウォータージャケットカバーのガスケットの劣化が原因だった。2002年から2005年のBMWエンジン搭載車だが、既に10年近く経っている車両も出始めているのでゴムパッキンが劣化するのもやむを得ないところ。
今回のレンジローバーは2004年モデル。8年目で、距離はおおよそ8万キロ。ランドローバーとしてはまだまだこれからといった段階だが、こういったメンテナンス必要箇所が増えてきていることは否めない。

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そして今日、オートクラフトで納車整備中のこのレンジローバーの冷却水漏れもそこからだった。やはりこれは傾向的なものであって、そうなれば今後は同様の症状が増える可能性が高い。
今回、オートクラフトとして初めてのケース。ここまで分解するのも試行錯誤をしながらかなりの時間が掛かったが、きっとこれから繰り返し作業をすることになり、作業速度はあがっていくだろう。その繰り返しによってランドローバー車に対するスキルが上がっていく。そしてやがて我々の武器となっていく。

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Vバンクの間のウォータージャケットカバー、プラスチックの黒い蓋がそうなのだが、その周辺から漏れた冷却水はそこに溜まらないように、ドレンが設けられている。ということは、「やがてここから漏れる」ことが想定されていたわけだ。漏れたときのための工夫をしておくのも必要だとは思うが、漏れないためのもうひと工夫がされると助かるなあ。

納車前点検整備 −サスペンション・ロワアーム編−

今日はレイブリックでのディスカバリー3の納車前整備の様子を。

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行っている作業はフロントサスペンションのロワアームのアッセンブリ交換。フレームとはブッシュを介して固定されており、そのブッシュが経年で劣化して亀裂が入ってしまう。およそ2.5トンの車体が、特にブレーキング時に大きく圧し掛かり、振動や音となって伝わってくるようになる。当然のことながらハンドリングなど走行性能に関わる重要な部位である。


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これが取り外したロワアームASSY。ブッシュがイカれただけなら、アッセンブリ交換をする必要などないのでは?と思うのが自然である。もちろん、本来ならそうする。プレスを使って悪くなったブッシュを抜き取り、新品を圧入する。
ところが、どんなカラクリがあるのか分からないが、ブッシュ単体の価格と、ブッシュが組み込まれたロワアームASSYの価格がほとんど変わらない。なので、ブッシュ単体を交換すると、作業工賃でコストが逆転してしまうのだ。
そんなわけで、現在我々はアッセンブリ交換の方法をとっている。やがて価格改定が行われ、ブッシュの価格が安くなったならその時は時間を掛けてブッシュ交換をするだろう。

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ロワアームのシャシ側の二点の支点の後ろ側のブッシュの様子。劣化によるひび割れとは別に、更に荷重が掛かって亀裂になっている部分も確認できる。といっても、これはまだマシなほう。きっとしばらくカクンカクンしながら乗り続けていたであろうと思われるほど酷く痛んでいる車両も増えてきている。

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左右のロワアームの交換が終わったところ。

ちなみに、レイブリックでは中古車の納車前の点検で発見された不具合箇所に対する整備代金は全て車両価格に含まれている。お客さまから追加で整備料金をいただくわけではなく、始めから整備込みの価格を車両価格として表示している。例えば、しばらく乗りっぱなしで放ったらかしだったクルマの場合にはかなり大掛かりな整備が必要になる。しかし逆に、つい最近しっかりコストを掛けて車検を行ったばかりのクルマが中古車として入庫した場合、これは納車整備も順調に、つまり楽チンで済むわけだ。
ベースとなる車両が現在どんな状態であろうと、納車に向けた整備を行うことで全てのランドローバーを一定の水準に到達させることを我々は目指している。一定の水準とは、各メカニックや私が共有しているクォリティーである。合言葉は「レイブリック・クォリティー」。
逆の視点から言えば、限りあるコストでそこに到達する可能性のないクルマは始めから店頭には並んでいない。

もちろん、この思想はオートクラフトも同じである。どちらのクォリティーが高いか?!良い意味で両社はライバルなのである。

点検の勧め

今日はレイブリックでの中古車納車前整備の様子の一部をお伝えしようと思う。車種は2ndレンジローバー。作業内容は、既に当ブログでも何度か紹介しているが、フロントナックル部のボールジョイント交換。この部分を何度も繰り返して取り上げなければならない理由がある。

まずは完成図を見ながら。中央にピンク色をした金具で留まったブーツがある。これが破れるとどうなるか。内部のグリスが飛び出し、逆に水や汚れが侵入する。そのまま放っておけばボールジョイントの錆や磨耗が進行する。磨耗が進むととうなるか。恐ろしくて表現しづらい・・・。
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「最近、整備付きで購入したばかり」、あるいは「車検は受けてきたばかり」、そんな2ndレンジローバーでも、この部分、つまりステアリングナックルのボールジョイントブーツが破れている場合が多々ある。点検や検査で見落とした可能性もある。しかし、これはあくまで私の推測だが、交換できずに諦めたのではないかと思われるケースもある。
では、なぜその販売店やサービス工場は諦めなければならなかったのか。技術的には可能なことでも、工具がなかったのでは?と、私は思う。

ボールジョイントをナックルから抜き取ったり圧入するためには専用の工具が必要だ。もう10年以上前のことだろうか、我々が始めてこの仕事にチャレンジしたときも諦めた・・・。手持ちの工具を、どう駆使してもボールジョイントは外れなかった。調べると、専用のプーラー兼プレスが必要とのこと。スグに英国に工具を注文したのだが、その間作業が止まってしまう。その時は専用工具を持っているランドローバー正規サービス工場に依頼して作業を進めた。
その専用工具がコレ。かなり頑丈な作りだが、それでも固くてこの工具が壊れてしまったこともある。それを溶接で直しながら使っている。一度はひどく壊れて買い換えた記憶もある。ボールジョイントとナックルの勘合の、それほどまでの「固さ」を知っているだけに、この専用工具、あるいはこれの順ずる頑丈な工具を持っていない工場では諦めざるをえないことが想像できてしまう。
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いつだったか、近所の修理工場さんからこの件の相談があった。普段はメルセデスなどを扱っている工場だが、たまたまレンジローバーが入庫した。そしてナックルボールジョイントを交換しようとしたが外れず、相談を受けた。いくら仲のよい同業者とはいえ、我々は工具をお貸ししなかった。なぜなら工具が不可抗力で壊れてしまうことがあるからだ。たまたま壊れたからと言って弁償していては返って高くついてしまう。なので、クルマごと持ち込んでもらって作業としてお引き受けした。既に何十台、百何十台もの経験で、工具を使いこなす術をレイブリックのメカニックは心得ている。もちろん、工具を壊してしまうほどの過去の苦い経験も踏まえて。

実は、今日、レイブリックでこの仕事に取り掛かる際、私は傍らに張りついて作業の全容を記録しようと考えていた。しかし、たまたまご来店のお客さまが重なり、私が第二工場のピットに行くと既に右側は終わっており、左側もほとんど取り外しが終わっているところだった。なので、記事は組み付けの様子のみになってしまった。まあ、分解はこの逆なので理解していただけるとは思うが・・・。

ということで、専用工具を使ってボールジョイントのナックルに圧入するところから。
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圧入完了!
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ドライブシャフトのオイルシールも交換。これはオイルシールを打ち込んでいるところ。
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つづいてナックルの取り付け。
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そしてドライブシャフトを挿入。
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ブレーキのバックプレートとディスクを組み付け。
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ブレーキキャリパーを取り付けて完成!
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最後にもう一度完成した様子を。これは右側、フロント内側から見た様子。タイヤを外したり、リフトで持ち上げたりしなくとも、ハンドルを切って覗いてみれば簡単に目視点検できる。ディスカバリー・シリーズ2も似たような構造である。
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次にチャンスがあればちゃんと分解の様子からドキュメントしよう。くどいようだが、機能的にも性能的にも、とても重要な部分なので繰り返しお伝えしたいわけである。
今日はみなさまに詳しく理解しておいていただきたい内容だったので大きい写真を使ってみました。




サード

2002年デビューの3rdレンジローバー、2006年にはエンジンがBMW製からJAGUAR製に変更になり、更に2010年からは4.4リッターから5.0リッターに排気量アップした。2002年当初は、それまでの2ndレンジローバーからの継承でサード・レンジローバーと呼ばれていたが、2008年からはレンジローバー・ヴォーグという呼び方に変わった。
名前の呼び方や、仕様、性能は進化と変化を繰り返してきたものの、現在の形になって今年で足掛け10年になる。レンジローバーに詳しい人ではない限り、それが何年のモデルかを判別するのは非常に難しい。

現在、レイブリックのピットでご納車に向けた整備が行われている3rdレンジローバーも2002年モデル。個人的にも全く古くは見えていないのだが、早いものでちょうど10年が経つクルマなのである。しっかりメンテナンスを繰り返してきたレンジローバーでもさすがに経年で劣化する部品が増えてくる。これはエンジンからのオイル漏れの修理を行っているところ。漏れの箇所はエンジン本体、ブロックとフロントカバーの間のパッキンの劣化によるもの。ゴムの細いパッキンが、お菓子のポッキーのように固くなり、手で簡単にパキパキ、いやポキポキ折れてしまうほど。これではエンジン内を循環しているオイルをシールすることは不可能。このエンジンの場合、エンジンの前から下、オイルパン周辺にかけてベタベタに濡れてしまうほど漏れが始まっていた。

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これらのパッキンを交換するための作業がご覧の様子である。この作業はレイブリックではまだ数台目。メカニックもまだ慣れているとはいえないので、現在では分解から組み付けまでは一日以上が掛かる。しかし、3rdレンジローバーを取り扱っている以上、この作業は今後どんどん増えていくだろう。徐々に慣れていけば一日でできるようになるかな!と、メカニックにプレッシャー。クォリティーの高いランドローバーを追求するためには乗り越えなけらばならない壁である。





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